ご冗談でしょう、むとうさん

自称「この世界ってどうなってるのかな学」をやってるひとが書いてるブログ。一応ベースは経済系。書評チックなものからただの雑感まで、本の話題を中心につれづれなるままに書き散らす予定。最近は思考メモが中心。「記事は全て個人の見解」らしいです。

【メモ】「後にも先にも」はいつのことか

「後にも先にもない」という表現がある。一般に「今までもなかったし、これからもない」という意味だとされている。

でもこれ、どっちが未来でどっちが過去なんだろう?

 

・辞書をひくと、「後」という字にも「先」という字にも、過去と未来両方の意味が出てくる。しかも2つとも過去が先。ということは、「字義的に普通こっちなんだろう」というのが使えない。

 

・「後」が未来、「先」が過去、という考え方。「先」を過去の用法で使うことはある(例:先の大戦、先日)が、「後」はあまり過去の用法で使わない。むしろ未来じゃないか(例:明後日)「今後もない」と考えれば「後」が未来だ。

この説の欠点は「後」という字で「過去」の意味が先に来ているのをうまく説明できない。

 

・「後」が過去、「先」が未来、という考え方(個人的にはこっち)。時間の流れという一本の道の上を歩いていたとして、自分の後ろにあるのは過去。前にあるのが未来。もう一つの根拠は「今までにもなかったしこれからもない」という表現のほうが日本語として自然じゃないかということ。

この説の欠点はイメージ先行すぎて、「後」を過去の意味で使う熟語をぱっと出せないこと。

 

「後先考えず」の「後先」という表現について、「時間的に前と後」と書いている辞書がある(明鏡国語辞典)。この場合「後先」の順で「前後」なのか、「後」は「後」に対応している(つまり先=前)なのかが不明。