【メモ】実質実効為替レートの意義
為替レートには、「実質/名目」の区別と、「実効/2通貨間」の区別がある。
実質:物価変動を調整した
名目:物価変動を調整していない
実効:対各種通貨のレート(2通貨間レート)について、貿易量でウェイトをつけて平均したもの
2通貨間:円ドル、ドルユーロなど、2通貨間の交換比率
経済分析をするときには、実質実効で見ることが多い。一般にリーマン・ショック後は非常に円高だったと言われるが、実質実効で見ると案外そうでもない。むしろここ1年の実質実効は1980年代の水準で、円安すぎるという考え方もある。
(企業経営は名目でやっているので、名目円ドルで見た数値を無視していいというわけではない)
ところが、実際に貿易の決済で使われているのはドル、あと日本の場合は円。輸出は半分くらいドル、輸入は7割以上がドル(これは原油輸入の大半がドルだからと言われる)となっている。
実質実効の計算だと、例えばインドとの貿易量をウェイトに、円・ルピーレートの変動が実質実効に絡む。だけどこの2国間の取引は多分ドル建てが多く(せいぜい円建て)、ルピー建てなんてほとんどない。
また、取引に参加したインド企業が円、あるいはドルをそのまま外貨として保有し将来の取引に使うのであれば、円・ルピーレートは貿易量にあまり影響を与えないかもしれない。
と考えていくと、貿易量でウェイト付けした実効レートはあまり意味がないかもしれない。むしろ決済通貨でウェイト付けした方が、貿易量との関係が明確な為替レート指標となるのではないか?
(とはいえ実質実効という基準は世界的に使われているので、まぁそれなりに合理的な理由はあるんだろう)
ただし決算書類をつくる場合は外貨を為替レートで換算するので(この時の換算は会計規則による。日本は期中平均か取得時レートだったと思う)とはいえこの辺はヘッジしているんじゃないかな。あと、例えば新興国企業とかで海外から資金調達している場合はドル建てのバランスシートが重要になってくる気がする。そうなると企業はドル建て利益を最大化するように動くかもしれない。