ご冗談でしょう、むとうさん

自称「この世界ってどうなってるのかな学」をやってるひとが書いてるブログ。一応ベースは経済系。書評チックなものからただの雑感まで、本の話題を中心につれづれなるままに書き散らす予定。最近は思考メモが中心。「記事は全て個人の見解」らしいです。

2月の読書メーターまとめ

恒例のまとめ。ちょっとさすがに忙しかった+2月は日数が少ない*1のもあるけれど、7冊はやっちまったなぁ。重いのがいくつか控えてますけどそれを差し引いてもちょいとよろしくない。

 

とはいえ意外と大粒ぞろい。1冊平均が350ページを超えている月って珍しいかも。ハードカバー3冊が500ページ近いのばっかりで、新書も割と厚めだったから。なお3月1発目は700ページくらいのが控えててですね…ry

 

今月のベストは『かつての超大国アメリカ』かなぁ。「最近の日本はまったくケシカラン」という議論のアメリカ版だと思っていただければ。まぁ、意外とアメリカも大変なことになってるんだよねってことでそれなりに面白かった。「最近の日本は~海外を見習え!」的議論をなだめる*2的な使い方もできる笑。

 

次点は『2100年の科学ライフ』か。新書組はタイトル詐欺だったり致命的な間違いがあったりどうもパッとしなかった。

 

2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2556ページ
ナイス数:30ナイス

もっとも美しい数学 ゲーム理論 (文春文庫)もっとも美しい数学 ゲーム理論 (文春文庫)感想
ゲーム理論以上に最先端の(人間)科学を紹介する意味合いの強い本。主に統計力学との統合が強調されているのが面白い。ニュートンとスミスの繋がりはわかりやすいが、ダーウィンとノイマンをその流れの中に置くのは新しいのかも。量子ゲーム理論=混合戦略、というのはなるほどと思う。鳥の目と虫の目を両方持って世界を捉えるためには本当に役立つツールなのだ。全体として数式も少なく読みやすい。タイトルが若干不自然なのだけれど、ナッシュの「ビューティフル・マインド」にかけているらしい。そう考えるとこのタイトルの訳はコケてる…うん。
読了日:2月2日 著者:トム ジーグフリード
かつての超大国アメリカ―どこで間違えたのか どうすれば復活できるのかかつての超大国アメリカ―どこで間違えたのか どうすれば復活できるのか感想
19世紀はイギリスの、20世紀はアメリカの世紀だとよく言われる。覇権国家の推移は不可避かもしれないけれど、認めるのはつらい。アメリカ人なら尚更だ。どこで間違えたのか?という副題の問いに一つ答えるとすれば、「冷戦の終結時」というのが最適か。結局最盛期は下降期の始まりと同じだ。教育面での悲惨さが目立ち、著者もそれを憂いているようだ。先進国はどこでも同じような課題に直面しているわけで、盛者必衰なのかもしれないけど。面白いのは政治における第3極の重要性の指摘。日本の政界の現状を見るとなかなか興味深い。
読了日:2月8日 著者:トーマス・フリードマン,マイケル・マンデルバウム
知っておきたいアメリカ意外史 (集英社新書)知っておきたいアメリカ意外史 (集英社新書)感想
独立戦争から医療制度改革まで、アメリカの「意外な」歴史を現在と繋げていく試み…言うほど「意外」な事実が出てこなかったような。フェミニズム問題を一時期齧った身としては女性の権利向上の話が面白い。黒人解放とパラレルなのだね。だからこそ日本だと難しいのかも。一番「意外」だったのはベトナム戦争が日本のためだった?ということ。東南アジアの市場としての重要性は今でも変わらない。あとがきの「複雑で多面性を持つアメリカは人間の鏡像」はちょっとカッコよく笑、「複雑で多面性」という言葉でごまかされたようでもあり。
読了日:2月10日 著者:杉田 米行
悪魔に仕える牧師悪魔に仕える牧師感想
ドーキンスのエッセイ集。どこからでも読めるけど、後半の追悼文や書評のあたりはちょっと単発で読むにはグダグダな感じ。印象に残ったのはやはり前半。特に陪審員批判が面白い。批判理由は「12人いても一つの場でやったら多様な意見にならないだろ!」という。それを科学実験の枠に落とし込んで説明するあたりはさすがと言わざるを得ない。それ以外もいつものドーキンス。娘への手紙がカッコイイ。この子も将来(今?)科学関連の仕事をしているのかな。とにかく信仰や権威批判を徹底しているドーキンスの人となりが伝わってくる本であった。
読了日:2月11日 著者:リチャード・ドーキンス
2100年の科学ライフ2100年の科学ライフ感想
近未来を舞台にした作品に出てくるようなものがすでに、アイディアレベルで可能な技術の延長線にあるんだよという本。先端医療から宇宙進出まで。人工知能の話が興味深く、単純な計算能力の向上では行き詰りそう。コンピューターが身近になり、単語自体が消滅しつつあるという指摘はなるほど。問題はこういった研究にはエネルギーが必要なわけで、例えば足元の経済活動のエネルギーを環境配慮で制約しつつ未来のためにエネルギー投入を惜しまないという形がどこまで支持されるか。ミチオ・カクが将来の「道を」「描く」ということで一つ…
読了日:2月18日 著者:ミチオ・カク
アメリカを動かす思想─プラグマティズム入門 (講談社現代新書)アメリカを動かす思想─プラグマティズム入門 (講談社現代新書)感想
プラグマティズム」がアメリカにいかに浸透しているか、それがいかに機能しているかを説いた本。副題とかから思想の解説本に見えるけれど、プラグマティズムに照らし合わせると何が言える、何ができるかといった話が中心。思想解説に終始しないのはプラグマティズム的でもあるのかな?後半の例はかなり俗っぽい「プラグマティズム」定義で語ってる印象はある。あと反原発運動を持ちあげてみたり、中野剛志と藤井聡が出てくるあたりはなんか陳腐かなー。なんでこういう「シソー」な方々はあの辺好きなんですかね。もにょるなぁ。
読了日:2月22日 著者:小川 仁志
ユーロの正体 通貨がわかれば、世界が読める (幻冬舎新書)ユーロの正体 通貨がわかれば、世界が読める (幻冬舎新書)感想
要するに『円高の正体』の姉妹本。あっちはドル円レートの話だけで、ユーロの話は今回のためにとっておいた…というわけではないらしいが。趣旨としてはユーロ圏の危機が「財政危機」扱いされているのは因果が逆で、独自の金融政策をとれなかったから財政出動せざるを得なかったのだということ。最適通貨論や国際金融のトリレンマからは常識的な結論。気になった点は、日本にとってインフレ4%が本当に緩やかか?ユーロを維持したままのECBの量的緩和ではユーロ圏全体の景気を等しく下支えはできずかえって格差が広がるのでは?といったところ。
読了日:2月25日 著者:安達 誠司

読書メーター

*1:経済統計だとこういうとき季節調整をするんだよな。今度やってみるかw

*2:バカにする、ともいう